平成21年度 環境科学センター研究課題の概要

 

1.プロジェクト研究

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
水域における化学物質の汚染実態解明と環境リスク評価
(1) 水域環境の汚染実態解明と発生源寄与の推定  水域に存在する多種多様な化学物質について、水、底質、生物などの環境媒体別にその濃度分布を把握し、汚染の特徴を明らかにする。ダイオキシン類については発生源の特定や複数発生源の寄与率の推定及びリスク評価を行う。これらの結果から、水域における化学物質による環境リスクを低減するために優先的に取り組む物質や汚染源を明らかにすることを目的とする。  流域ごとに化学物質による汚染の特徴や生態リスクを比較することが可能になり、水環境の汚染の早期発見や発生源対策の優先度を決定に役立てることができる。加えて、発生源情報を必要としない新たな発生源解析手法を提案できる。
(2) バイオアッセイによる河川水のリスク評価  生態影響試験を河川水のバイオアッセイ手法に応用し、各河川の生態影響を明らかにするとともに、生態影響に寄与する化学物質や発生源を推定する。また、河川水に含まれる化学物質濃度(EC)と既存の予測無影響濃度(PNEC)の値から、各化学物質のEC/PNEC の値をバイオアッセイ結果と比較することで、包括的な環境リスク評価を行うことを目的とする。
水源環境の保全に関する研究
(1) 相模湖・津久井湖の水質汚濁の実態解明  相模湖・津久井湖の富栄養化に対し総合的な視点に立った方策を講じるため、富栄養化の汚濁負荷要因である窒素、りんの発生源別負荷を明らかにするとともに、水源地域の栄養塩類の削減対策の検証や実効性のある水源環境の保全再生対策の提案を行う。  窒素及びりんの由来と負荷量を明らかにすることで、有効な栄養塩削減対策の方向性を提言できる。
(2) 水源河川における生物多様性の解明  水源環境保全・再生事業に役立てるため、多様な環境の評価が的確に行える指標生物を選定し、環境要素などとの関係について調査し、個体群を対象とした指標生物としての有効性についても検討を行うことにより、生物多様性保全のための河川モニタリング手法を策定する。  新たな指標生物を用いて環境評価を行うことで、水源環境保全・再生の施策事業の効果検証、将来の施策展開の方向性の検討に資することができる。
(3) 大気環境に係る丹沢ブナ林の保全に関する研究  丹沢のブナ林を大気汚染の影響から保護し、保全再生させるために、1.ブナの複合的な衰退機構の解明、2.山間地域におけるオゾンのモニタリングと動態、の2テーマについて検討を行う。  丹沢におけるブナ衰退に関わる大気汚染の寄与と役割が明らかになりブナ林保全対策及び再生に役立てることができる。
地球温暖化及びヒートアイランド対策のための技術支援に関する研究
(1) 地球温暖化対策のための技術支援に関する研究  市町村への技術支援を目的とし、市町村別の温室効果ガス排出量の推計作業を行うとともに、その変動傾向を把握する。また、一般家庭における排出量の削減効果を検証する。さらに、建設リサイクル資材を使用することにより、新材を使用する場合に比べて温室効果ガス排出量がどの程度削減できるのか、定量的に算出する。  市町村に対する技術支援に加え、今後の対策に向けた基礎データとしても活用できる。また、建設リサイクル資材の利用促進が期待できる。
(2) ヒートアイランド対策のための技術支援に関する調査研究  県内において気温の実態調査を行い、ヒートアイランドの発生状況、地域特性を明らかにするとともに、熱中症予防を目的とした暑さ指数予測を行う。また、代表的なヒートアイランド緩和対策の効果検証を行うとともに普及に関するケーススタディを行い、関係機関に技術情報として提供する。  ヒートアイランド対策の重点地域の設定に利用できるとともに、緩和対策効果が定量的に把握でき、施策推進の根拠データとして利用できる。
循環型社会の形成に関する研究
(1) 廃棄物リサイクル施設等における化学物質物質排出実態の解明  廃プラスチック溶融施設などから排出される化学物質と臭気の排出実態及び施設周辺における化学物質、臭気の実態を把握し、廃プラスチック溶融施設などが周辺地域に及ぼす影響とその対策を検討する。  廃棄物リサイクル施設等に係る化学物質、臭気の実態と適切な対策をまとめ、今後の行政施策の基礎資料とする。
(2) 廃棄物最終処分場の適正管理に関する研究  「かながわ環境整備センター」を対象に、酸性雨などによる埋立後の重金属の溶出挙動への影響を把握するとともに、浸出液処理施設の精密機能調査を行い、あわせて埋立廃棄物の有効な前処理技術等を検討することにより、安全な最終処分場維持管理技術の確立に資する。  実稼働時における個々の浸出液処理設備の能力の検証を通して、今後の施設建設あるいは維持管理方法に向けた提言が可能になる。
(3) 電気探査技術の活用による廃棄物最終処分場の安定度判定に関する研究  廃棄物最終処分場の安定化を確認するために、低コストでかつ、進んだ安定化を乱さない非破壊検査の手法を確立するために、非破壊検査のうち応用範囲が広いといわれている電気探査技術を活用し、最終処分場の安定化状況を確認するための基礎的研究を行う。 (政策課題研究)  事故時等の行政対応、通常時の行政指導、電気探査技術の普及等、行政からの依頼に迅速に対応することが可能となる。

 

2.地域課題研究

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
(1) 光化学オキシダント高濃度の発生原因の解明  近年、光化学オキシダント濃度が漸増傾向にあることから、その原因を明らかにするため、常時監視測定結果から光化学オキシダント高濃度日の風向、風速パターン等を解析するとともに、アルデヒド類や含酸素系炭化水素等光化学生成能の高い物質の測定を行い、高濃度日の発生要因を推定し、高濃度日削減対策を検討する。  県内の光化学オキシダント高濃度発生の原因を把握することにより、効果的な排出抑制対策の検討に活用できる。

 

3.重点基礎研究

 

     
課題名 研究概要
(1) 光化学オキシダントの生成に及ぼす生物起源揮発性有機化合物(BVOC)の影響に関する研究  これまで未解明のBVOCの環境濃度や放出量等の実態を明らかにするとともに、併せて工場等の人為由来のAVOCの環境濃度等の実態を把握し、VOCの成分からみた光化学オキシダントの発生要因の解明を目的とした研究を行う。
(2) イオン液体を用いたバイオマスからの直接的エタノール製造に関する研究  平成20年度重点基礎研究で見いだされた発明を、稻藁や籾殻に対して適用することにより、発明に係る製造手法のより広範囲なバイオマスに対する適応性を調査し、またそれぞれのバイオマス種類に応じた反応条件の最適化を目指す。

 

4.共同研究

 

     
課題名 研究概要
(1) ブナ林衰退地域における総合植生モニタリング手法の開発  ブナ林は、わが国の冷温帯を代表する森林であり、北海道南部から九州まで広範囲に分布している。 自然性の高い極相林として存続している森林も多く、また生物多様性豊かな地域として保全されている地域も多い。しかし、最近、丹沢(神奈川県)、富士山(静岡県)、英彦山(福岡県)をはじめとして、全国各地でブナ林の衰退が報告されている。
そこで、本研究では、ブナ林域における全国展開可能かつ効率的な総合植生モニタリング手法を開発することを目的とする。特に、ブナ林衰退地域以外でも適用可能な、ブナ林生態系の健全度に関する総合調査マニュアル(案)を作成すること、ブナ林を有する多くの都道府県が参画する総合植生モニタリングのネットワークを構築する。
(2) 有機フッ素化合物の環境汚染実態と排出源について  PFOS/PFOAをはじめとする有機フッ素化合物について、国環研及び多くの自治体が高感度・高精度な分析法や関連情報を共有し、地域特性を含めた排出実態、環境実態の解明を行う。
(3) 植物のオゾン被害とストレス診断に関する研究  近年オゾン濃度の上昇が著しい西日本の自治体を含め9県においてアサガオ等の野外調査を行い、オゾン濃度、気象状況及び可視被害状況と遺伝子解析の結果から、野外におけるアサガオ等のオゾンストレスを遺伝子発現解析によって診断する手法を確立する。
また、神奈川県独自の取り組みとして、ブナに遺伝子発現解析が適用可能かどうか検討し、ブナのオゾンストレスを遺伝子発現解析によって診断する手法を確立する。
(4) 最終処分場浸出水の水質変動特性の解明に関する研究  県内の最終処分場浸出水に含まれるCODや有機化合物等の時系列データの変動特性と各水質項目の相互関係を解析し、浸出水水質ならびにその変動特性により廃棄物の安定化を判断する手法について検討する。

 

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