平成17年度特定研究及び経常究等の研究概要

 

1  特定研究

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1) 事業所周辺における大気環境リスクの推計に関する研究」


(企画部、環境保全部、環境技術部、情報交流部によるプロジェクト研究)
1.ヒアリング及び現地調査により、事業所の操業状況を把握し、可能な限り対象物質の排出形態を把握する。また、気象解析を行い、地域特有な気象条件の把握を行ったのち、その条件下での時間帯別に事業所周辺の環境濃度の排出実態調査を行う。
2.事業所規模や業種別に排出形態を検討し、モデル推計による推計濃度と1の環境濃度と比較検討を行うことにより排出量の推計濃度の検証を行う。
3.平成14、15年度に実施した平塚地域の環境濃度の測定結果比較するために、2で検討した結果を考慮し、対象物質の平塚地域の年平均値の推計を行う。
自動車排出のある物質の濃度推計では、H15ー16で構築した手法を用いて自動車からの寄与を加え、平塚地域の測定結果の年平均値と比較検討し、年平均値に対する排出の与え方の検討を行う。
4.暴露人口を求めるためにH15ー16特研で推計した建物別人口と3で推計した濃度推計の結果の重ね合せを行い暴露濃度別の人口を推計する。また、学区などの身近な集計地o域における暴露濃度別の人口も合わせて推計する。
5.幾つかの削減シナリオのもとに削減効果の推計を行う。
○事業場、自動車、船舶及び航空機をはじめとするけ県内の発生源のデータベースを提供できる。
○基準年の環境濃度マップ及び大気に係る地域リスクマップ、工場周辺或いは幹線道路沿道の暴露人口等の環境リスクを提供できる。
○河川に係る流域リスクマップについて、目標年の環境濃度マップ作成及び環境リスク推計手法の手順書を提供できる。

 

2-1 重点経常研究

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1) 最終処分場の廃止に向けた安定度判定に関する研究
(環境技術部)
 埋立終了後長期期間を経過した最終処分場において、浸出液及び発生ガスの降雨による影響、季節変化等を明らかにし、最終処分場の廃止技術上の基準」を運用する際の具体的な測定方法を提案する。現在までに、4か所の最終処分場で毎週1回、豪雨時は1週間毎日、浸出液の水量、電気伝導率、塩化物イオン、金属類等の水質、発生ガスのメタン、硫化水素等を測定し、最適なモニタリング時期等の把握に努めている。また、平成16年度から国立環境研究所と共同で、埋め立てられた廃棄物の安定化状況を把握するための調査を始めた。試料採取後のボーリング孔には温度、ガス圧、ガス成分等を自動測定できる装置を設置し、連続測定を開始した。今後、ここから得られるデータを蓄積し、最終処分場の長期的な安定化の推移を調べる予定である。 ○最終処分場の廃止に係る基準のより適切な運用が可能となり、最終処分場のより適切な維持管理指導に役立つ。
2) コールドスタート時における自動車からのVOC及び粒子状物質の排出
(環境保全部)
 自動車のエンジンを一定期間停止した低温状態からの始動(コールドスタート)時における排出ガスの大気環境への寄与は大きいものと推定されている。本研究では、コールドスタート時の排出ガス中のVOCなどの排出量を調べるとともに、地下駐車場などを利用してコールドスタート時における大気汚染の実態を明らかにする。  自動車排出ガス由来のVOC等の化学物質の排出特性を調べることにより、排出抑制及びリスク低減施策立案に役立てる。

 

2-2 一般経常研究

 

1)環境保全部

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1) 神奈川県の大気環境におけるアルデヒド類の濃度分布と発生源寄与の推定
 ホルムアルデヒドは発ガン性が疑われており、大気汚染防止法で有害大気汚染物質の優先取り組み物質に指定されている。これまでのモニタリング調査の結果、神奈川県は全国的にみても高濃度レベルにあることが判明している。本研究では、県内各市のアルデヒド類、ベンゼン、オゾンなどの測定データや自動車関連データを基に、発生源や大気中光化学反応による二次生成の寄与等について解析する。  自動車排出ガスからの一次排出及び光化学反応による二次生成の状況が明らかになれば、削減対策への基礎資料とすることができる。
2) 水質事故時における農薬の迅速スクリーニング法の開発
 河川における魚へい死事故で、しばしば農薬が疑われることがある。しかし農薬は種類が多く原因農薬を特定するのは困難であった。16年度は、改正水道法やPRTR制度でリストアップされた農薬から、県内の使用実績、魚毒性などから100~150種の農薬を選定し、LC/MSによる効率的な一斉分析法を作成する。農薬にはそのままではGC/MSで分析できない化合物が数多く含まれ、種類に応じた誘導体化やクリーンアップ作業が必要となり、多成分を迅速に測定するこは困難であった。一方、LC/MSは、ほとんどの農薬で誘導体化が不要で、  魚へい死事故など河川の農薬汚染が疑われる場合に、農薬検出の有無、濃度レベルなどを速報できるようになれば、河川における農薬による魚へい死事故などの緊急時に適切に対応できる。
3)水域の生態系保全を目的としたGISデータベースの構築と活用に関する研究

1.金目川水系を対象として、水田除草剤の水質調査を行い、、既存の生態影響試験結果との比較による評価を行う。また、水生生物の分布、河川構造物及びその他の水質、水量などをそれぞれ位置情報をもったデータベースとして整備している。
2.農薬調査を継続するとともに、堰や護岸の状況、水温、分かりやすい生物について、地域市民団体と連携した調査を行う予定である。
3.データを地図上で重ね合わせ、河川環境の変化の中で生物の生息に大きな要因について解析する。
○ 河川環境における水温、水量、水質、河川構造物等の複数の要因と水生生物の分布を地図上で重ね合わせることにより、これらの関係を分かりやすく示すことができる。
○ 生物の保全・回復に向けた環境保全活動施策に資する。○市民参加型の環境保全活動を支援、推進する。
4) 大気中二酸化炭素濃度と地域別排出量の把握

1.温暖化対策の実施やその効果検証の前提となる地域別の二酸化炭素排出量及び大気中二酸化炭素濃度の地域特性を明らかにする。
2.市町村別の二酸化炭素排出量の算定に使用可能な指標や統計数値を検討する。
○市町村などの地球温暖化貸先の取組の参考となる。
○二酸化炭素濃度及び二酸化炭素排出量を県民・企業等へ提供することにより、啓蒙、環境学習効果が期待できる。
○地球温暖化に対する施策効果の検証に役立てる。
5) 水田とその周辺水域における水生動物の利用様式


1.水田、水路及び河川に出現する魚類の種類を除草剤散布時、落水時など時期ごとに調査した。それぞれの水域に分布する魚の種類は水田における食餌や産卵卵など利用目的によって分類された。また、6~7月に水路の除草剤濃度が高くなったが、生息魚類の行動などへn影響は認められなかった。
2.水田へ導水する方法(機能や構造)が魚類の分布に及ぼす影響を調べる。
○ 水田等水域において、それらを行き来できる場所における水生動物の分布や利用形態などを比較検討することによって、好ましい水田生態系の保全対策を提案できる。
○ 除草剤等農薬散布による水生動物への影響を、直接現地で水生動物の分布と移動から推測でき、散布に関する知見が得られる。

 

2)環境技術部

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1) 相模湖・津久井湖における硝酸性窒素除去の可能性
 相模湖と津久井湖では、循環曝気装置等による水質保全対策が推進されてきたが、窒素・リン濃度は依然高く、特に全窒素は約1.5mg/Lもあり、その大部分が硝酸性窒素となっている。このため、さらに効果的な窒素の負荷削減や除去技術の検討が求められているが、発生源対策だけで削減効果を上げるには困難な状況にある。一方、近年では湖水そのものを直接浄化する技術が提案されている。硝酸性窒素が湖水で減少する主要因は低層部での生物脱窒が想定されるため、湖水に生物脱窒の人工的促進場所(例:木枠による浮島の下部に接触材を簾状に設置し生物膜を固定化)を確保すれば、自然浄化能を利用した窒素除去が期待できる。本研究では、両湖の富栄養化状態について、利水水質の確保などを目的とし、接触材等を用いた生物脱窒の室内実験を行い、湖水の硝酸性窒素除去の可能性について検討を行う。  相模湖や津久井湖における窒素除去可能性を明らかにすることにより、両湖の水質改善へ向けた効率的な窒素除去対策の提案が可能となり、さらに実用化が図られることにより、利水水質の確保に役立つ。
2)廃棄物リサイクル施設から排出される大気汚染物質と処理対策の効果
 ごみの固形燃料化施設などの廃棄物リサイクル施設から排出される有害大気汚染物質(ベンゼン、有機塩素系化合物、アルデヒド類等)及び臭気の発生実態と処理装置の低減効果を把握し、対策の必要性、有効な低減対策等を検討する。 ○有害大気汚染物質、臭気の排出実態を把握するとともに有効な低減対策などを整理し、今後の行政施策の基礎資料とする。
○廃棄物リサイクル施設の安全性、臭気対策を向上させることによって、安全かつ安心なリサイクルシステムの構築に寄与する。
3)ばいじん中の重金属類含有量と溶出挙動の把握(最終処分場の適正管理)
 廃棄物に含まれる鉛や亜鉛などの低沸点の重金属類は、焼却処理によりその多くがばいじん(飛灰)に移行するが、処分場埋立時においてこれら重金属類の含有量の把握や、酸性雨に長期間さらされた際の溶出挙動の予想などは行われておらず、将来、処分場の閉鎖あるいは跡地利用の際に問題となる可能性がある。
そこで本研究では、県内の施設から排出され、キレート処理やコンクリート固化など、重金属類溶出抑制対策がなされたばいじんを対象に、含有量及び溶出挙動の実態把握を第一の目的として、含有量分析及び長期的な溶出挙動を把握するためのアベイラビリティ(最大溶出可能量)試験を行う。
あわせて、その結果から、含有量や最大溶出可能量を判定基準値に用いた受入基準を設定した際の、処分場に埋め立てられる重金属類の削減効果について検討する。
○重金属類に関して、より安心・安全な処分場管理が可能となる。
○処分場の閉鎖あるいは跡地利用を進める際の安全性を担保する根拠となる。
4)道路に面する地域の環境騒音の推計方法に関する研究  道路に面する地域の環境騒音の推計方法については、既にいくつかの推計式が提案されている。また、「騒音に係る環境基準の評価マニュアル」にも推計式が示されている。マニュアルに示されている推計式は、主として、無響室を使用した音響模型実験の結果から導かれたものである。この式により、道路から距離帯別に平均的な推計値が求められる。一方、環境騒音の評価量として、エネルギーの時間平均を意味する等価騒音レベルが導入されたことから、簡易測定による環境騒音の把握が比較的容易になった。そこで、本研究では、簡易測定に基づき環境騒音を推計する手法について検討する。簡易測定による方法は推計式による方法と異なり、測定値にその地域の固有の状況が反映されることから、より実態に近い推計値が与えられるものと思われる。平成17年度は、建物の配置、地形など、地域の特性を考慮した測定点の配置等を検討し、実測値から推計値を導く手法を検討する。また、推計式による方法との比較検討を行い、最適な適用条件等を検討する。 ○環境騒音の面的評価が精度よく行えるようになり、騒音規制法に基づき、都道府県に義務づけられている自動車騒音の常時監視が効果的に行えるようになる。
○地域の環境騒音の実態を詳細に把握できるようになり、防音壁の設置、低騒音舗装の施工あるいはバッファビルの誘致等の地域の実状に合った騒音対策メニューの検討が可能になる。
5)複合交通騒音の評価指標に関する研究  様々な音が氾濫する近年の都市部で、生活空間における快適な音環境を創造するためには、居住者の視点で異種音源による複合騒音の影響を評価することが必要不可欠である。本研究では、複数数の交通騒音に暴露されている環境を対象とし、これらの騒音による日常生活への影響を判断するための科学的根拠として、複合交通騒音の評価指標を提案する。本研究は社会調査と心理評価実験の二つの手法で構成されている。社会調査では、道路、鉄道、または航空機を対象音源とし、いずれか二つの騒音に複合して暴露されている住宅地において、交通騒音に対するアンケート調査と騒音暴露量推定のための測定を実施する。得られる結果から、複合騒音に対する評価手法を構築する上で不可欠な要因、1.音源種別による騒音反応の差、2.暴露ー反応曲線の傾きの違い、3.相互効果を検証する。心理評価実験では、実際の居住空間を模擬居間実験室(横浜国大建築実験棟の無響室)において、社会調査と同一の音源を用いた被験者実験を行い、複合交通騒音に対する反応を規定する要因を明らかにする。本実験の目的は、日常生活における人間の騒音反応を概括的かつ総括的に把握することであり、究極的には社会調査との整合を期待している。これらの結果から、複合騒音に対する心理構造を解明し、複合騒音に対する評価モデルの検証を行う。  現在、複合騒音が問題となっている場合には、個々の音源に対する基準等を判断の拠り所としているが、この方法では日常生活における複合騒音の影響を正しく判断できないことは明らかである。本研究の成果は、このような問題を解決する上での科学的根拠として活用できる。さらに、環境影響評価においても、本研究で提案する評価指標の基準値を目標値とすることにより、それぞれの騒音の発生許容値を設定することが可能となる。
6)汚染土壌中の特定有害物質等の測定技術の研究  平成11年PRTR法が施行され、354種の化学物質(第1種)が対象となった。しかし、それらの化学物質については分析方法は明示されておらず、未検討のものも多く、その確立が急務となっている。そこで、平成17年度は、PRTR法の第1種指定化学物質となった金属類の分析法が確立されていないバリウム(Ba)について、種々の環境試料中の正確で簡便な分析方法を検討する。  PRTR法の対象化学物質の中で、分析法が未確立のバリウムについて、正確で簡便な分析方法を確立することで、同法の円滑で適切な運用が図れる。また、神奈川県が策定した平成16年1月告示第12号「化学物質の適正な管理に関する指針」、告示第13号「安全性影響指針」の適切な運用に寄与できる。
7)地下水汚染地域の実態評価と発生源対策の効果予測ー水源地域の汚染地下水浄化方法の検討ー  定期モニタリング調査等でVOC(トリクロロエチレン等)、硝酸性窒素及びモリブデンが基準値又は指針値を超過している水源地域では、湖沼・表流水の富栄養化対策及び汚染地下水の浄化対策が急務となっている。
そこで、本研究は、地下水浄化技術に係る技術支援を目的に、硝酸性窒素及び低濃度モリブデンについて、実用化のための基礎的検討を行う。硝酸性窒素については、汚染地下水の浄化法として注目されている電気透析法の導入を前提に、室内実験装置を用いて電流密度、通水速度等の長時間運転等に向けた適正処理条件等の検討を行い、また、低濃度モリブデンについては、市販のキレート樹脂を充填した室内実験装置を用いて、適正樹脂の選定をし、最も効果のあった樹脂について同じく実用化に向けた適正処理条件等の検討を行う。
○実用化の際に必要な地下水浄化装置の設計条件、運転条件等の基礎的データが習得される。
○上水用の地下水源地域の浄化対策に対して適切な助言、提案等が可能になる。
○汚染地下水の浄化技術啓発のための研修等に役立てることができる。
8)地下水汚染地域の実態評価と発生源対策の効果予測ー現場データから見た汚染地の評価と対策効果の予測に関する研究ー  地下水汚染が課題となっている県内各地域においては、効率的な浄化対策の選定あるいは適切な浄化効果の確認が早急に求められている。そこで、本研究では、地下水の浄化対策が既に行われた地域あるいは現在対策が行われている地域を対象として、水文地質及び地価水質の調査資料に基づき、汚染物質の構成とその経時変化等を解析し、汚染地域の地下水流動のモデル化と水質変化の予測を行い、適切な浄化方法の選択手法とその効果について明らかにする。  これまでに県内で行われた地下水に関する調査結果を有効活用し、様々な傾向を明らかにすることで、今後行われる汚染地域の調査あるいは浄化対策に対して有益な助言・指導が可能になる。

 

3)情報交流部

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1)環境総合統計データベースの構築と効果的な提供手法の確立 1.神奈川県の環境状況を県民と行政が情報を共有し、適切に評価できるよう、統計試料等、環境を評価する際の基礎的な情報についてその所在を明らかにし、体系的に整理するとともに、分かりやすい形で提供する。
2.環境基本計画や環境白書とリンクし、体系的な目次など、分かりやすい形でインターネットに公開する。
3.体系化した目次を作成し、情報の取り出しを容易にする。
4.国や他県の同様のデータと連携し、相互比較を可能にする。5.大気汚染常時監視測定結果の経年変化をデータベース化し、公開した。
6.環境基準項目について解説ページを作成した。
7.県の大気測定結果と政令市の同じ内容のページをリンクして表示できるようにした。
8.国立環境研究所のGISページにリンクし、地図表示と近隣都県のデータ表示を可能にした。
○環境を評価する際の基礎情報を世界共通の体系で公開することで、県民と行政の評価の視点を一致することができる。○環境基本計画や環境白書で必要とされるデータが継続して一元管理でき、同じ視点で評価ができる。
○国や他県との比較が容易となり、県の特徴が明らかになることで環境について理解しやすくなる。

 

3  行政依頼研究

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1)ブナ森林衰退の機構解明のためのオゾン濃度調査
【自然環境保全センター】
(環境保全部)
1.丹沢山全域において簡易オゾンサンプラーによりオゾン濃度の測定を行い、ブナ林の健全地域及び衰退地域とオゾン濃度分布との関連を調べる。自然環境保全センターの実施しているブナ林衰退度調査の結果と合わせて解析する。
2.ブナ林衰退度が激しく、かつオゾン濃度の高かった地域を中心に詳細な調査を行う予定である。
 ブナ衰退とオゾンとの関係を解析し、オゾン生成の前駆物質である窒素酸化物や炭化水素の発生源規制推進の資料とする。

 

4  共同研究

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1) 神奈川県における地衣類の遺伝的多様性を活用した大気汚染診断
【国立環境研究所他】
(環境保全部)
 国立環境研究所と共同で、地衣菌及び共生藻、それぞれの核rDNAITS領域の遺伝的多様性について調べる。過去(平成4年~5年にかけて)に県内で実施した地衣類の調査地点を中心に個体試料を採取し経年変化を調べる。 ○ 特別な分類学的知識を必要とせずに、生物指標による鋭敏かつ客観的な大気汚染診断が行える。
○大気汚染測定局の物理的測定データが得られない場合でも、潜在的な疾病発生地域の予測が可能となる。
○継続的なモニタリング調査を実施することで、大気汚染から
環境が回復されたかどうかについての事後評価が行える。
2)相模川、酒匂川流域における農薬の流出量推定法に関する検討
【横浜市水道局他】
(企画部)
 平成15年5月の水道水質基準の省令改正により農薬は水道の水質管理目標設定項目となり、平成16年度から101種の農薬が水道水質管理の対象となった。一方、PRTRにおいても124種の農薬が第一種指定化学物質に指定されており、水域における農薬の流出状況を把握することは重要な課題である。本課題では、水道法及び化管法の対象農薬について、相模川及び酒匂川をモデル水域とし、次の方法により水域別の農薬の排出量または流出状況を推定する手法について検討する。
(1)水域別農薬別年間排出量の推定
農薬の使用法等の公表情報とモデル計算を組み合わせて、県内流域の排出量を一律に算出する方法を検討する。
(2)プライオリティリスト及び実測データとの比較・検証
上記の結果から、各水域で水域への流出量が多いと考えられる農薬を選定し、現行の水道プライオリティリストと比較する。
(3)プライオリティの高い農薬の検索
PRTR対象物質のうち101農薬に該当していない70種の農薬の中で監視または水質管理のプライオリティが高いと考えられるものを検索する。
 相模川及び酒匂川水系における農薬の流出量を把握し、これを次のように活用する。
○県内の水道事業体に提供し、監視対象農薬選定根拠として使用するとともに、監視農薬プライオリティリストの改編を合理的に行うための基礎資料とする。
○相模川及び酒匂川水系の水質事故の原因究明のための資料として活用する。
3)日本における光化学オキシダント等の挙動解明に関する研究
【国立環境研究所】
(情報交流部)
1.平成16年度は、光化学オキシダント対策のための基礎資料を得ることを目的として、都道府県毎に自局のデータを使って、国立環境研究所が開発したソフトウェアにより、光化学オキシダント濃度等のトレンド解析を行った。
2.17年度は、16年度と同様の目的で、光化学オキシダント濃度の高濃度時に見られる様々な特長を把握するため、参加自治体を10グループに分け、それぞれ個別のテーマ(海陸風の影響、SPM等の他物質との関係、ヒートアイランドの影響、大陸からの影響等)について検討を行う。
この中で本県は、東京都、埼玉県、群馬県、長野県と共同で、「ヒートアイランドが発生した場合の影響について」をテーマとして研究を行う。
具体的には、光化学オキシダントの濃度変化に影響を及ぼすような大規模なヒートアイランド現象についての定義を明確にし、次に、ヒートアイランドが発生した日の光化学オキシダントの濃度変化について、発生しなかった日と比較しながらその特長を整理する。
 光化学オキシダント濃度の高濃度時に見られる様々な特長を正確に把握することにより、今後の大気汚染常時監視業務における有効な資料を得ることができ、さらには、県民及び緊急時燃料削減対象工場に対する予報及び注意報等の光化学スモッグ情報の提供を、より精度よく行うことが可能となる。

 

5 政策課題研究 (政策課)

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1)有機性廃棄物の水素発酵技術の開発に関する研究
(環境技術部)
 バイオマス・ニッポン総合戦略が平成14年に策定され、バイオマスの有効利用に対する政策支援が強化されている。また近年、反応過程で炭酸ガスを排出せずまた高効率な発電方式である水素エネルギーを利用した燃料電池が注目されており、この燃料電池に供給する水素ガスを有機性廃棄物から製造する手法として、水素発酵い関心が集まっている。この水素発酵は近年積極的に研究され、おからなどの炭水化物含有量が多い廃棄物については回分培養で水素発酵を行うことが出来ることが既に確認されている。しかし連続培養においては水素発生が継続せず、また回分培養での発酵終了後の発酵液を次の培養のための種菌としてそのまま利用することが出来ないとされており、その要因については現在明らかとなっていない。よってこれらの水素発酵の影響因子を明らかにする必要がある。
そこで本研究では、水素発酵を継続させるため水素生産効率を低下させる要因の調査を行い、その要因の解消を試みる。すなわち、水素発酵素中に生成する阻害物質の検索や水素発酵後の培養液を種菌として利用するための処理方法の検討をしたうえで、連続処理発酵層を作成して水素発酵の検討を試みる。
○水素発酵の実用化のための連続処理に関する発酵条件等の基礎的データが得られる。
○従来から実施されているリサイクル手法である堆肥化等とは異なる、より効率的なリサイクル手法を提供できる。
○将来、燃料電池のエネルギー源として需要増加が見込まれる水素の新たな生産手法が提供できる。

 

6 重点基礎研究(政策課)

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1)パーベーパレーション法(膜分離法)による揮発性有機化合物の連続サンプリング・抽出法の開発
(環境技術部)
 揮発性有機化合物による水質汚染事故の際の汚染源特定のためには、これまでの定量限界より低い濃度を定量する必要がある。このため、パーベーパレーション法と固相吸着を組み合わせた、水質汚染事故現場付近に据え付ける現場型連続サンプリング装置の開発を目的とした基礎的研究を行う。  環境行政の重要課題である化学物質対策の推進のため、環境汚染に対する速やかな対応が求められている。このような状況の中で、本研究は、水質汚染事故現場付近に据え付ける現場型連続サンプリング装置の開発を目的としており、汚染源の究明に役立つと考えられる。

 

7  その他の研究

 

     
課題名 研究概要 行政施策上の効果
1) 臭素化ダイオキシン類の測定法の検討及び実態の把握
(環境保全部)
 臭素系ダイオキシン類の測定法を検討するとともに、半田付け工程で使用されるフラックスを塩素系から臭素系に切り替えることによる臭素系ダイオキシン類の生成と排出の実態を調べる。  臭素系ダイオキシン類がダイオキシン類対策特別措置法の対象となった場合、速やかに対応ができる。
2)水田土壌中に残留するダイオキシン類の推計及び水田から流出するダイオキシン類による環境影響
(環境保全部)
 土質などにより分類された県内水田土壌の数地点について、ダイオキシン類の残留濃度及び垂直分布などを調べ、県内水田における残留量とその起源を推定する。また、これらのデータに加え、県が保有する過去の保存試料における濃度の経年変化等についても把握し、今後の残留濃度や流出濃度等について検討する。あわせて水域への流出割合を調べ、環境影響を評価する。また、かんがい期を中心とした水田からの流出の特徴を明らかにすることにより、効果的な流出防止法を探る。  県内の水田に残留するダイオキシン類の実態及び今後の推移を把握し、環境保全上の観点から必要な対策の検討に資する。また、水田から水域への流出特性を明らかにし、環境影響を低減するための流出防止に必要な基礎データを得る。

 

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