平成14年度特定研究及び経常研究の研究概要

特定研究

課題名 研究概要 行政施策上の効果
「PRTRデータへの地域性の付加と活用に関する研究」  

(平成13~14年度)
<一部、大学との共同研究>

(環境情報部、大気環境部、水質環境部、環境工学部によるプロジェクト研究)
【背景】
平成11年7月に公布された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)により、化学物質の総合的な対策の一環として、PRTR制度の本格的な導入が開始された(平成13年4月施行)。同法は、人や生物に有害な影響を与えるおそれのある多数の化学物質の環境への排出量及び移動量を集計し、適切な方法で公表することにより、化学物質の管理を促進し環境への排出を低減していく仕組みを定めている。この中で、国は“県を経由して集められた対象事業所(点源)データの集計及び届け出対象外(非点源)データの推計”を行い、県は“国から通知された情報を活用して、地域ニーズに応じた集計及び公表”を行うことが求められている。
県では、リーフレット等によるデータの公表を行政部門が、非点源データの推計における地域性を踏まえた精度の向上とよりきめ細かく分かりやすい公表方法の検討を研究部門が実施することとしている。

【研究目的と内容】
1 地域性を踏まえた精度向上に関する検討
非点源から排出される化学物質のうち、地域性が高い「農薬」及び「自動車」関連のPRTR対象物質の地域への排出量の推計方法を研究する。
14年度は、自動車排ガス由来の地域排出量の推計方法及び路面由来の化学物質の排出特性を明らかにする。自動車については独自の交通量推計手法から市町村ごとの排出量分布を求める。この結果から予測される濃度を実測値などから検証する。また、路面から水系へ排出されるPRTR対象物質の解明を行う。
2 分かりやすい公表方法の検討
PRTRデータは、行政施策立案のための基礎資料や企業・市民とのリスクコミュニケーションに活用することになっている。
そこで、1で得られた基礎データをもとに地域性を反映させた排出量の推計方法の検討を行う。行政部門とも連携して、「地域ごとの排出量の把握」及び「情報の地図表示」を目指したデータの加工と提供手法を構築する。
○平成13年4月に施行されたPRTR法のなかで、県に求められている次の役割を果たすことができる。
1.地域ニーズに応じた集計・公表手法の確立
2.国民の理解増進

○県の重点プロジェクト「化学物質環境保全対策の総合的推進」において必要な次の基礎データを整備することができる。
1.地域ごとの排出量の把握
2.地域環境リスク評価
3.リスクコミュニケー ションの推進

○平成14年度以降に予定されている公表に成果を活用していく。

経常研究

課題名 研究概要 行政施策上の効果
(1)ディーゼル車対策による環境中へのPM2.5及び有害化学物質排出量削減効果の推定
(重点)
県内の浮遊粒子状物質による大気汚染は深刻であり、その主原因となっているデイーゼル車対策が緊急の課題となっている。14年度は、特に2.5μm以下の粒子(PM2.5)及び有害化学物質の排出実態と対策効果を推定するための基礎となる排出係数を求めるための調査を行う。 ディーゼル車から排出される粒子状物質、特にPM2.5の対策効果を検証し、有効な削施策の推進に役立てる。
(2)コイのビテロジェニンの挙動に関する研究
(課題名変更)
<内水面試験場との共同研究>
(重点)
県では、平成10年度から環境ホルモン実態調査を行っており、平成12年度からはコイの血中ビテロジェニン濃度を調査項目に加えた。ビテロジェニンはメス特有のたんぱく質であるが、環境ホルモンによる影響によりオスの血中にも誘導される。本研究では、河川で捕獲したコイを清水で飼育し、血中ビテロジェニン濃度の通年調査を行って個体差や季節変動を明らかにする。また、河川での繁殖行動を観察して、影響の実態を調査する。 環境ホルモン実態調査結果の評価に役立つ。
県内河川における環境ホルモンによる生物影響のをスクリーニングとして位置づける。
(3)廃棄物最終処分場からのばいじん等飛散流出の確認手法に関する研究
(重点)
最終処分場では、ばいじん等の飛散防止策が施されているが、その効果を具体的、定量的に把握できないことが、最終処分場の設置をより困難にしている。本研究では、管理者がばいじん等の飛散流出を簡易に確認、把握できる手法を開発する。ばいじんの捕集方法及び銅、亜鉛、鉛など特有の成分を指標物質として用い、周辺土壌等におけるばいじんの確認手法の実用性を明らかにする。あわせて、ばいじん等の飛散流出の実態把握も行う。 最終処分場における県独自の安全基準、維持管理指導基準に反映させる。最終処分場の安全性、信頼性の向上に貢献する。
(4)オープントップチャンー(OTC)法によるオゾンのブナに対する影響評価方法の検討 新
(課題名変更)
丹沢山地のブナ衰退の一因として、大気汚染物質とくにオゾンの関与が推定されている。本研究では、ブナが衰退している現地にオープントップチャンバー(OTC)を設置し、オゾン濃度とブナの生長量、葉緑素活性等との定量的な関係を調べる。OTC調査法におけるオゾンのブナへの影響評価法を確立する。 ブナ林保全のためのオゾン許容量の設定に役立てる。
(5)都市大気中の二酸化炭素濃度の変動と施策効果の把握  新
本県が平成13年度に策定する温室効果ガスの削減目標及び削減シナリオに伴う削減効果のフォローアップを行う。地上局3地点における二酸化炭素濃度のモニタリングを継続し、変動要因の解析及び地域の二酸化炭素排出量の推計値の経年変化との照合を行う。 「かながわ地球温暖化防止行動計画」の施策効果の検証とシナリオ見直しの検討材料に役立てる。
(6)被害感を評価するための騒音と振動の統合指標の開発
<大学との共同研究>
現在、騒音及び振動に対する被害は、それぞれの基準値に基づいて判断されている。しかし、多くの住民は騒音と振動に同時に曝されており、基準値以下でも被害感を訴える場合が多く、その対応に苦慮している。本研究では、都市交通機関から発生する騒音と振動に焦点を定め、主としてアンケート調査とその解析によって、被害感を客観的に評価するための騒音と振動の統合指標を開発する。 基準値以下で問題が発生している場合や複合的な問題が発生している場合に、問題解決を図る上での目標値を示す。
(7)低防音壁の高性能化等に関する研究
<企業との共同研究>
一般道路の騒音対策用に高さ1m程度の防音壁が注目されているが、その実用化にあたっては多くの課題がある。そこで、防音壁の構造等の工夫による高性能化と適切な設置条件などについて検討する。
騒音対策が進んでいない県道などの一般道路の騒音対策が推進される。
(8)海洋深層水と沿岸海水の性質比較による海洋環境評価研究  新
<水産総合研究所との共同研究>
東京湾及び相模湾は、都市化の進展や人口増により、大きな流入負荷を受けている。環境基準の達成率は近年横ばい傾向にあるとともに、赤潮や底層での貧酸素化減少など、人為的影響が懸念されている。本研究では、東京湾及び相模湾地崎域と相模湾深層部における窒素、りん等の分布状況と汚濁現況を水産総合研究所と共同で調査する。海洋深層水の基本的性状と合わせて明らかにする。 海域の環境評価及びその利活用が期待されている相模湾深層水の基礎データを得る。
(9)モリブデン、ほう素及び硝酸性窒素含有排 水の二段処理技術の開発 (課題名変更) 水質汚濁防止法の改正により、平成13年6月に硝酸性窒素、ほう素、フッ素の排水基準項目が追加され、既存の排水処理技術では、十分に対応できない場合が想定される。そこで、凝集沈澱法及び生物脱窒法を組み合わせて、それぞれの浄化技術の利点を生かした複数の有害物質に対応できる排水処理技術を開発する。 水濁法の改正に伴う排水基準項目の増加に対応し、発生源における浄化を推進する。
(10)生息場所評価方法による河川環境評価 河川環境の評価を生物の微生息場所から判定する方法の開発。砂泥の浸食、流出、堆積などの状況が分かる。現状把握が容易なため、具体的な措置が行いやすい。 砂防(林道)工事に伴う河川モニタリングに有効である。

 


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