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水源環境浄化技術
  −ダム湖の硝酸性窒素除去に向けた検討−
 県民の貴重な水源である相模湖・津久井湖では、富栄養化が進み問題となっています。
そこで、湖水の直接浄化対策として、硝酸性窒素を除去する技術を検討しました。
 その結果、湖の上層(有光層)では藻類により、下層(低酸素層)では生物脱窒により、硝酸性窒素を除去できる可能性を確認しました。
   「取組分野から」 水源環境 「 水源環境の保全・再生に向けて」 のページをご参照ください。
植栽式水上設置型技術と接触ろ床処理による硝酸性窒素除去実験
  相模湖・津久井湖は、窒素とリンの濃度が非常に高く、特に窒素濃度は約1.5mg/L もあり、そのほとんどが硝酸性窒素(NO3−N)です。
 そこで、フロート(浮島)表面で植栽浄化する水上設置型直接浄化技術を活用し、その下部に吊下げた接触ろ床で湖水中のNO3−Nを除去する簡便なシステムを想定し、室内実験を行いました。
    
  図1 湖水の窒素除去システムのイメージ(左)
  図2 図1をもとに製作した接触ろ床処理実験装置(右)
方法  まず、湖にフロートを浮かべ、水生植物を植栽してNO3-Nを吸収させるとともに、フロート下部には紐状の接触材を吊り下げて、(1)湖の下層では低酸素状態による生物脱窒を、(2)上層(有光層)では藻類の光合成によるNO3−Nの吸収を想定しました。(図1)
 次に、イメージ図をもとに製作した「接触ろ床処理実験装置」(図2)を用いて、
(1)接触材に生物膜を付着させ、溶存酸素(DO)を低レベルに保持した生物脱窒実験と、
(2)接触材に付着させた藻類の光合成によるNO3−N除去実験を行いました。
結果 1)生物膜を付着させた接触ろ床による生物脱窒
 上の実験装置で脱窒を試みた結果、約2週間の馴養後には、槽内水のDOが2〜3mg/L付近であればNO3-Nはほとんど除去され、 全窒素(T−N)は0.2mg/L 程度まで減少することがわかりました(図3)。
 従って、湖内に低DO状態となる場所を確保できれば、本法のような接触材を利用したNO3-N除去が可能と考えられました。
 ただし、低DO状態となる水域は、水深や季節が限定されるなどの課題が残りました。
(2)藻類を付着させた接触ろ床による硝酸性窒素除去
 フロート下部に吊下げた藻類付着接触材による湖水の窒素除去を想定し、緑藻類(ミドロ類)による接触ろ床処理の室内実験を行った結果、NO3-Nは95%以上除去できました(図4) 。
 ただし、T−N除去率は約60%と低く、T−P(全リン)やTOC(全有機炭素)の除去も不安定でした。また、藻類は接触材への付着性が劣り、増殖には光や水温などの無機的環境の影響が大きいこと、光が届くのは上層付近のみでアオコ発生時には表層にも届かなくなること、など課題も少なくないことから、長期間安定して高率に窒素を除去するには更なる検討が必要です。
 図3 接触ろ床による窒素、リン及び全有機性炭素濃度の経日変化(左)
 図4 藻類(ミドロ類)処理による窒素濃度の経日変化(右)

課題  今回の結果から、それぞれの方法で硝酸性窒素を除去できる可能性が確認できましたが、接触ろ床からTOCやT-Pが溶出したり、下層では低DO水域の水深や季節が限定されること、上層では藻類の増殖には光や水温など無機的環境の影響が大きく、担体への付着性が悪いこと、など多くの課題が残されています。
 また、ダム湖の水量は莫大であることから、本技術の活用方法については、さらに基礎的な検討が必要です。
発表のマーク
 この研究は平成17〜18年度に経常研究として実施し、結果については、「第16回 環境科学センター業績発表会」(平成19年11月)で発表しました。
 
→ 講演要旨集は、こちらのページをご覧ください。
【神奈川県環境科学センター 環境技術部水処理技術担当】