建築廃木材のリサイクル製品は安全か



   今から30年前の1970年代に建築された家が、建替えのために取り壊されています。廃木材には、家の土台や風呂場の柱など腐りやすい部分にCCAなどの防腐、防虫処理された木材が使われています。この廃木材は、細かくチップ化されて色々なリサイクル製品に生まれ変わります。しかし、リサイクルが進められる中、その安全性に触れた研究事例は少なく、リサイクル製品の原料となるチップにどれほどCCA、クレオソートが含まれているかはっきりしていませんでした。そこで、当センターでは、CCA、クレオソートのリサイクル原料から製品までの行方を調査し、製品の使用上の安全性評価を試みました。


リサイクルの流れ

 廃木材 ⇒ チップ ⇒ パーティクルボード
                紙(パルプ)
                堆肥
建築廃木材の写真
建築廃木材中のクレオソート処理等木材にクレオソート等の含有量を示した表
  チップに含まれるCCAの構成成分(クロム、銅、ヒ素の合計)は、1kg中に20mg、クレオソートの構成成分(アントラセン、フェナントレン、フルオランテン、ピレン、クリセン、ベンゾ(b)フルオランテン、ベンゾ(a)ピレンの合計)は、1kg中に30mgを超える場合もあります。リサイクル製品は、このような原料から作られています。 建築廃木材をチップにした写真
リサイクルチップに含有しているクレオソート等の量を示した表
  パーティクルボードは、チップを原料にポリウレタンまたはメラミン樹脂などのポリマーを添加して過熱圧縮成型したものです。建物の床の下地材に使われたり、表面に着色樹脂などをコーティングして家具などにも使用されています。パーティクルボードに含まれるCCA、クレオソートは、原料チップに含まれていたものが、そのまま製品に含まれてしまうことが分かりました。 バーティクルボードの写真
バーティクルボードに含有しているクレオソート等の量を示した表
紙は、チップをアルカリ液で溶解してから、パルプを抽出して作ります。抽出後に残った液を黒液と呼んでいます。黒液にはCCAやクレオソートが多く含まれていましたが、紙には含まれていないことが分かりました。 紙の写真
紙に含有しているクレオソート等の量を示した表
  畜舎では、肉牛等の敷藁の代わりにチップが使用され、さらに牛の糞尿が混じり、これを発酵させて堆肥が作られます。この堆肥に含まれるCCAは、原料のチップ濃度と同程度であることが分かりまた。一方、クレオソートは、堆肥化することにより微生物分解を受けて減少することが分かりました。 堆肥の写真
堆肥中に含有しているクレオソート等の量を示した表
○  この調査から、次のことが分かりました。
1)  紙ではCCA等が含まれず、安全性に問題はないと考えられます。
2)   パーティクルボードを食器棚に使用したとしても、摂取量が許容量の10-3倍と大きく下回ったので安全と考えられます。
3)   しかし、廃棄されたパーティクルボードを焼却処分した灰、また堆肥に用いた場合、人への影響が気になります。そこで、灰には土壌環境基準(含有)を、堆肥には汚泥肥料の基準を適用して評価したところ、いずれの場合も基準値を下回ることがわかりました。
4)   さらに、廃棄、焼却して環境を経由して水や食料から人が摂取した場合の健康影響評価をしてみると、発がんリスクは非常に低いという結果が得られました。
  これら安全性に係わる調査結果から、現在行っている廃木材のリサイクル方法(目視によってCCA処理廃材を簡易選別)で問題ないことがわかりました。しかし、建築廃木材のリサイクルに際し、有害物質の環境汚染負荷軽減のためには、CCAやクレオソート処理木材の取壊し時やチップ製造時に、できる限り選別して、これらを除去することは必要と考えます。


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